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薬局における在庫管理

在庫管理は,薬局経営における重要なポイントです。在庫管理は大きく分けて,定期発注方式と発注点方式があり,それぞれの利点と欠点があります。定期発注方式は,決まった日(たとえば月曜日)に発注する方式であり,仕事をルーチーン化できるので仕事量は少ないのですが,適切な発注量を求める必要があります。定期発注方式は,ある量を下回ったときに発注する方法であり,発注量は任意に決めておけばよいので頭を使う必要はありませんが,仕事量が多いので体を使います。へヴィ研は,頭を使って仕事量を減らす方法を提案しています。

下の図(左上)の縦棒を毎日の体重の測定値(■)としましょう。体重は基本的には一定で,その値は図の点線(平均値)とします。しかし,食事の摂取量,気圧などにより,図のように変動すると仮定します。体重の変動(縦棒の長さ)はランダムですが,ある確率法則(正規分布)に従うと考えます。基本的な体重は一定であるにも関わらず,平均値+3σより大きな測定値が得られる確率は理論的には高々0.1%ですから,これより大きな測定値が実際に得られたら,体重が増えたと判断できます。尤も,本当は体重が増えていない危険性は0.1%ありますが,この危険性は低いので無視します。



体重の変動の図を上下反転させると上の図(右下)になります。ここで,測定値ゼロを最大在庫量,平均値を最小在庫量,最小在庫量+3σを在庫量ゼロとしますが,測定値(■)は同じ法則に基づいてばらつくと仮定します。すると,在庫量がゼロより下になる確率(在庫が底をつく確率)は高々0.1%となります。測定をする日は発注日ですから,毎週同じ日に発注するすると仮定すると,在庫が底をつくのは3年に一回という計算となります。この0.1%の確率が危険すぎるならば,最小在庫量を4σとすれば在庫が枯渇する危険性はほとんどなくなります。

この発注方法を実践するためには,σと7日間の調剤量の合計の平均(=最大在庫量―3σ)を知る必要があります。どちらの量も過去1年のデータがあれば,統計的に求めることが可能です。しかし,胃薬のように年間を通して販売量が一定である薬では,これらの量を求めるのは簡単ですが,季節性のある薬,たとえば,抗インフルエンザ薬,風邪薬などは,7日間の調剤量は年間を通して変化しますので,この発注方式は上の図よりすこし複雑になりますが,これは可能です。

へヴィ研は,このような確率論に基づく定期発注方式を提案しています。